メイクアップの歴史

みなさんは、メイクアップができるようになるまで、どんな風に学びましたか?

自分の顔で練習しようとしたこともありましたが、肌の色とファンデーションが合わなさすぎて、見た目が変すぎて練習に耐えられず、結局自分の顔での練習は諦めました。

さて、ヨーロッパでは、1920年代から90年代のハリウッド映画女優のメイクが、ファッションやモード系のベーシックなメイクパターンとして学ばれることが多いんです。私もそんな風にして学びました。

みなさんは、年代別のメイクについて意識したことがないかもしれませんが、実は、今でもモードメイクはその時代のメイクを応用したものに過ぎません。

例えば、1920年代のメイクは、レトロで可憐なイメージが基盤ですが、ゴシックやパンク、耽美的なスタイルは、この時代のメイクにルーツがあります。

1930年代はアイラインが強調され、アイホールにはシャドーラインを入れて軽くぼかします。昨今では「ダブルライン」として新しいデザインのように見せていますが、実はこのクラシックなスタイルが応用されているのです。

1940年代は戦争の影響でメイクが控えめになり、代わりにヘアセットが際立つ時代でした。

1950年代になると、アイラインが太く長くなり、つけまつげで目元を強調し、眉は比較的太めでストレートまたは角度をつけたスタイルが登場します。この時代を象徴する女優は、オードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローですね。

1960年代には、モンロー風のメイクがさらに強調され、エキセントリックでジオメトリックなスタイルが流行します。同時に、ヘア界にはビダルサスーンという巨匠が登場し、モード界に大きな影響を与えました。この時代を代表するのは、フランスのブリジット・バルドーやモデルのツウィッギーです。

70年代に入ると、化粧品のカラーバリエーションが増え、若者たちが派手なメイクを楽しむようになります。しかし、メイクのスタイルとしては奇抜すぎて、今のメイクにはあまり参考にならないかもしれません。

80年代は70年代の反動でナチュラル志向が強まり、日本のデザイナーが世界で注目される時代となりました。

90年代になると、メイクやファッションが成熟し、ヘアやメイクのデザインも定番となりました。この時期には「スーパーモデル」と呼ばれる伝説的なモデルたちが登場し、ジョージ・マイケルの『Freedom ’90』のPVでも話題になりました。監督はハーブ・リッツというファッションフォトグラファーが手がけ、今見てもかっこいい作品です。

90年代のメイクは、60年代のスタイルを洗練させた「90’s 60’s」と呼ばれるものでした。60年代そのものではなく、現代風にアレンジされたスタイルが支持されました。

2000年代以降、ファッション業界やメイク業界は、発想よりも、既存のスタイルを選んで仕立てる時代になり、今はそれを要望に合わせて調整するという形が主流となってきています。