この小さな喫茶店は、某有名な劇団の座長の甥が営む店で、俳優や女優が出入りする場所でした。
コーヒーの味も絶品と評判で、豆のブレンドにこだわりを持っていた店でした。
ソフトとストロングという2種類のブレンドがあり、特にストロングのブレンドはコーヒー豆屋のオリジナルブレンドとして採用され、後にその豆屋は全国にスタンドコーヒーショップを展開し、大ブレイクすることになります。
この喫茶店が、現在全国展開しているド●●●コーヒーの原点だったのです。
喫茶店の他のアルバイトは俳優や服飾の専門学生など個性的な人たちばかりで、そんな中で地味な大学生の私は居心地の悪さを感じつつ、毎日苦いコーヒーを飲みながらコーヒーの淹れ方を覚えていきました。
コーヒーの味に厳しい常連客に泣かされることも多々ありましたが、なんとか働き続けました。
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