瞑想中、目を瞑りながら意識の中に深く入っていく。自分が寝ているのか、起きているのかもわからなくなる瞬間があった。
「私は起きていたのだろうか?寝ていたのか?いや、あの子猿が現れるまでは確実に意識があった!」
アサーナを組み、両手を膝に置き、親指と人差し指で輪を作りながら瞑想を続けていた。呼吸を整え、静かに、長く息を吸い、同じリズムで吐く。呼吸が深まるにつれ、意識の中に映像が朧げに見えてきた。
足を組んで座っている自分の姿が見える。すると突然、水が目の前に流れてきて、自分はその水の上に座ってしまうことになる。前方の水面がはじけ、そこから手の平サイズの小さな子猿が現れた。子猿は水しぶきと戯れながらも、ずっとこちらを見つめていた。
その瞬間、上空に大きな存在感を感じた。逆光の中、細身で武装した女戦士が馬に乗り、長い槍を回しながらこちらを見据えている。逆光で顔ははっきり見えなかったが、手や腕、首、そして頬が深い蒼色だった。その瞬間、彼女が神族であることに気づく。
スーッと我に帰り、夢だったのか現実だったのかを考える。しかし、頭の中に残っていた名前は「サラスヴァティ」。
これは、私にとって初めて具現的に現れたサラスヴァティの姿だ。日本では「弁財天」として知られる女神――その神秘的な姿が、今でも鮮明に心に刻まれている。
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